ユダヤ教で香油を塗られて聖化された祭司たちの長。バビロン捕囚後の時期にあらわれる大祭司 hak kōhēn haggadōl。その後,新約聖書でも祭司長の名が使用され,多く現れる。その職務は普通の祭司職だけでなく,本来の役割として年1回の罪祭の日に彼のみが入ることを許された至聖所に入り,自己の罪とイスラエルの罪の償いのための犠牲を捧げることとされた。新約聖書では,祭司長は長老たち,律法学者たちと並んでサンヘドリンを構成し,それを主導するものとされている。その選任は,初めユダヤの伝統に基づいてなされたが,後代になるとセレウコス朝の王やヘロデ大王,ローマ人などがその任命権を収奪したこともある。