秩父札所番付(読み)ちちぶふだしよばんづけ

日本歴史地名大系 「秩父札所番付」の解説

秩父札所番付
ちちぶふだしよばんづけ

一巻

成立 長享二年

原本 法性寺

解説 室町時代中期に成立したとされる秩父観音霊場(札所)番付とその本尊を書上げたもの。奥書には長享二年五月二日の日付があり、播州書写山を開いた性空が秩父札所巡礼を行ったこと、文治三年三月一八日に作られた番付を長享二年に写したことなどを記している。札所の成立を文治三年までさかのぼらせている点は疑問であり、また後代の書込みもみられるものの、一五世紀後半すでに札所が成立していたことがうかがえる。現在の秩父札所は三四ヵ所(戦国末―江戸初期に成立したとされ、西国三十三ヵ所・坂東三十三ヵ所と合せて計一〇〇ヵ所となる)であるが、長享二年の番付では三三ヵ所、番付順にも相違がみられる。当番付は秩父地方の中心であった大宮郷を中心に一―一三番、一四―一七番、一八―二三番、二四―三二番、三三番と五つのブロックに経路が分れているのに対して、のちの三十四ヵ所は江戸からの経路を配慮した道順となっている。物見遊山的要素も多分に含まれていた近世の札所信仰に対して、当番付が秩父地方を中心とした純粋な霊場巡行的色彩の濃い中世の札所信仰を示したものとして貴重である。

活字本新編埼玉県史」資料編五

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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