本尊(読み)ほんぞん

精選版 日本国語大辞典 「本尊」の意味・読み・例文・類語

ほん‐ぞん【本尊】

〘名〙
寺院仏壇などで中央にまつられ、信仰・祈りの主な対象となる仏像。また、個人が特に信仰する仏。本尊仏。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「七歳より俊蔭がつかうまつる本尊、あらはれ給へ」 〔聖無動経〕
事件中心人物当人本人。物や事象についても用いられる。
※玉塵抄(1563)三「風流をたつる徒党には此二人を本尊にしたぞ」

ほ‐ぞん【本尊】

〘名〙 =ほんぞん(本尊)日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「本尊」の意味・読み・例文・類語

ほん‐ぞん【本尊】

寺院などで、礼拝の対象として安置される、最も主要な菩薩ぼさつ像。画像曼荼羅まんだら名号などのこともある。
身辺に常に持ち、その守護を祈る小形の仏・菩薩像。守り本尊。
多く御本尊」の形で)その話題や事件の中心になる人。当人。本人。からかいの気持ちをこめていう。「当の御本尊だけ話題の外だ」
[類語]仏像持仏石仏金仏木仏

ほ‐ぞん【本尊】

ほんぞん(本尊)」に同じ。
「この誓願寺の御―は」〈仮・竹斎・上〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本尊」の意味・わかりやすい解説

本尊
ほんぞん

寺院や仏堂において供養・信仰の対象となる主尊たる仏・菩薩(ぼさつ)像のこと。本仏、本師ともいい、釈迦(しゃか)三尊像のように脇侍(きょうじ)や眷属(けんぞく)を従えた場合には、中尊ともよばれる。本尊は寺院創立の由来や施主の信仰などによって異なる。また各宗派によってそれぞれ一定の本尊があり、たとえば密教では大日如来(だいにちにょらい)、浄土教では阿弥陀仏(あみだぶつ)または弥陀三尊、日蓮(にちれん)宗では日蓮の描いた十界勧請大曼荼羅(じっかいかんじょうだいまんだら)などを本尊としている。

[松本史朗]

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世界大百科事典 第2版 「本尊」の意味・わかりやすい解説

ほんぞん【本尊】

一般に,礼拝の対象として安置する重要な尊像の意。すなわち,本堂などに修行や礼拝の対象として安置する仏,菩薩像,画像などをいう。一堂宇のなかにあるいくつかの尊像のうち主たるもの,また脇侍や眷属と区別して中尊を意味することもある。本尊の語は《大日経》説本尊三昧品・世間成就品・秘密八印品,《大悲空智経》大相応輪品・俱生義品などにみられる。古来,それぞれの寺院が創建される趣旨や願主の信仰によって,それぞれの仏像が本尊として安置された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本尊」の意味・わかりやすい解説

本尊
ほんぞん

寺院や仏堂で本師,本仏として礼拝の対象となる仏像のこと。また薬師三尊,釈迦三尊など,脇侍菩薩や眷属を従えた場合には,中尊を本尊と呼ぶ。

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普及版 字通 「本尊」の読み・字形・画数・意味

【本尊】ほんぞん

信仰する仏。

字通「本」の項目を見る

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葬儀辞典 「本尊」の解説

本尊

信仰や祈祷の対象とする仏、菩薩を指します。

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世界大百科事典内の本尊の言及

【仏像】より

…グプタ朝の北インド征服が完成したチャンドラグプタ2世(在位376ころ‐414ころ)の治世に,一時停滞していた北インドの造形活動はふたたび活況を取り戻し,やがて洗練された技法により均整のとれた崇高な美しさをそなえた仏像を生み出すようになった。ストゥーパに従属していた仏像が,本尊としての地位を獲得するようになったのもこの時代である。グプタ様式の造像は帝国の領域内のみならず,同盟関係にあったバーカータカ朝治下のアジャンターなどデカン北部にも及んだが,その中心はマトゥラーとサールナートで前者は5世紀前期から中期に,後者は5世紀末期に最盛期を迎えた。…

※「本尊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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