改訂新版 世界大百科事典 「稲垣氏」の意味・わかりやすい解説
稲垣氏 (いながきうじ)
近世大名。伊勢国の出で,のち三河に移ったという。1565年(永禄8)長茂のときより家康に仕え,1601年(慶長6)上野伊勢崎1万石となる。その後,越後刈羽2万石,同三条2万3000石,三河刈屋と転封を重ね,さらに下野烏山(2万5000石,のち3万石)を経て,1725年(享保10)昭賢(あきかた)のとき志摩鳥羽へ移る。以後幕末に至る。当主は従五位下摂津守または信濃守,対馬守に叙任。維新後は子爵。長茂の三男重大(しげとも)は徳川秀忠の側近に召し出され,1685年(貞享2)その子重定のとき,1万3000石の大名となる。のち所領を近江へ移され,陣屋を近江山上におく。以後幕末に至る。当主はおおむね従五位下若狭守または長門守,安芸守に叙任。大番頭,大坂定番,若年寄などの就任者を出す。維新後は子爵。
執筆者:大森 映子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報