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穀物法論争 こくもつほうろんそうCorn Law controversy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

穀物法論争
こくもつほうろんそう
Corn Law controversy

19世紀前半のイギリスで行われた穀物法をめぐる諸論争をいう。狭義には特に D.リカードと T.マルサスを中心とする 1815年の穀物法の是非をめぐる論争をさす。リカードは穀物法の存在はイギリスの穀物価格を上昇させ,賃金騰貴,利潤率下落を通じて資本蓄積を阻害するとしてその廃止を主張し商工業者の支持を受け,マルサスは独自の有効需要理論,食料輸入の不安定性などからその擁護を主張して,地主階級に支持された。以後 46年に廃止が決定されるまで穀物法をめぐる階級対立が続いたが,この論争は階級のイデオロギー論争というよりは,理論的土台に立脚したものであり,単に政策論争というだけではなく,古典学派の理論的展開のなかで重要な位置を占めるものである。その成果はのちのそれぞれの経済学体系に結実した。

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世界大百科事典内の穀物法論争の言及

【リカード】より

…1809年,当時の兌換(だかん)停止下での物価騰貴問題について《モーニング・クロニクル》紙に〈金の価格〉を寄稿,翌10年それを整理・再編成したパンフレット《地金の高価格》を公刊して,兌換停止が物価騰貴の原因だとして当時のイングランド銀行の不換銀行券の過剰発行を批判し,兌換の再開を求めたが,これが同年発表された《地金委員会報告書》と同一線上のものだったため,一躍経済学者として注目されるようになった。引き続く穀物法論争(1813‐15)時には,J.ミルの強い影響下にパンフレット《低廉な穀物価格が資本の利潤に及ぼす影響についての一試論》(通称《利潤論》)を著して穀物法を擁護するマルサスを批判し,穀物の輸入制限は穀価騰貴=賃金騰貴によって利潤の減少と地代の増加をもたらすから,地主階級の利害と資本家・労働者階級の利害とは対立するとして,差額地代論を中心に,価値論を除く,主著《経済学および課税の原理》(1817)の長期動態論の主要骨格を提示し,穀物の自由貿易への漸次的移行を提唱した。主著で展開された投下労働価値論からはリカード派社会主義やマルクス経済学が生まれ,また彼の差額地代論からはやがて土地国有化論が生まれた。…

※「穀物法論争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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