穴太(読み)あのう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「穴太」の意味・わかりやすい解説

穴太
あのう

滋賀県大津市中部の地名。『延喜式(えんぎしき)』の北陸道への始発駅で「穴多(あのう)五疋(ひき)」と記される。古代の渡来系氏族による横穴式古墳が多い。『先代旧事本紀(くじほんぎ)』にみえる景行(けいこう)、成務(せいむ)両天皇の志賀高穴穂(たかあなほ)宮跡と推定されるが、未発掘である。この地に居住した石工による石垣は穴太積みとよばれ、安土(あづち)城など多くの近世城郭に用いられた。京阪電鉄石山坂本線の穴太駅と湖西(こせい)道路下阪本インターチェンジがある。

高橋誠一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の穴太の言及

【穴生】より

…近江国滋賀郡穴太(穴生とも書く。現,大津市内)に住んだ石工(いしく)。…

【城】より

…ただし東日本では,適当な石材を得がたいという自然条件から土塁のままであった城が多く,遠く伊豆から石材を運んで築いた江戸城などは例外的である。各地の築城では,安土城の石垣普請に携わった近江穴太(あのう)(現,大津市穴太付近)の石工が活躍し,穴生(あのう)が石垣師の代名詞となったほどである。また彼らに加え,石材の産地である播磨から瀬戸内海へかけての石工たちの活躍もあったに違いない。…

※「穴太」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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