竜田姫(読み)タツタヒメ

デジタル大辞泉 「竜田姫」の意味・読み・例文・類語

たつた‐ひめ【竜田姫/竜田比女/立田姫】

延喜式にみえる竜田比古竜田女神社の祭神の一。
奈良の都の西方にある竜田山にいるという、秋をつかさどる女神。五行説で西が秋にあたるところからいう。東の佐保姫に対する。 秋》

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朝日日本歴史人物事典 「竜田姫」の解説

竜田姫

『延喜式』にみえる女神。「竜田坐天御柱国御柱神社二座」とともに「竜田比古竜田比女神社二座」(大和国平群郡)と記され,前者の天御柱,国御柱も後者の竜田比古,竜田比女も,みな風難を避けるために祭られる神。後者は前者の摂社で同じ宮域にあるが,摂社に祭られる方が本来の祭神で,それに威厳を与えるべく付けたのが「天御柱国御柱」の名だという。天武天皇の命により風神を竜田の立野(奈良県三郷町立野)に祭ったと『日本書紀』にある神の1柱(立野とは別に斑鳩町にある竜田神社も祭神は同じだが,ここは立野に祭る神を守護神とする法隆寺のために立野から勧請した新宮)。なお竜田姫は竜田山を神格化した秋の女神の名としても用いられるが,それは佐保山(奈良市街の北方)を神格化した春の女神佐保姫に対する名。

(佐佐木隆)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「竜田姫」の解説

竜田姫 たつたひめ

「延喜式」にみえる女神。
大和(奈良県)竜田山の神で,斑鳩(いかるが)町の竜田神社にまつられる。奈良の西にあたるところから五行説の影響をうけて秋をつかさどる神とされ,春をつかさどる佐保姫と対比される。また風の神としても信仰される。

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世界大百科事典(旧版)内の竜田姫の言及

【季語】より

…かつて女の夜業であった),桐一葉(きりひとは)(秋の訪れを告げる桐の落葉),草市(くさいち)(盆用品を売る市),暮の秋(秋の終りのころ),木の実,鹿の声(交尾期の鹿の高く長い声),今朝(けさ)の秋(立秋の朝のさわやかな感じ),冷(すさ)まじ(寒いとまではいえない冷気の感じ),秋声(秋の物音),相撲(もとは豊凶を占う神事であった),施餓鬼(せがき)(無縁仏をとむらうこと),露,二百十日(台風襲来の厄日),後(のち)の月(陰暦9月13日の月。十三夜ともいう),野分(のわき)(秋の暴風),八朔(はつさく)(陰暦8月1日),初潮(はつしお)(陰暦8月15日の大潮),蛇穴に入る(秋の彼岸ごろに蛇は冬眠するという),花野(はなの)(秋草の咲き乱れた野),盆(正月と並ぶ一年の節目),踊(盆踊のこと),身に入(し)む(秋の冷気を心身で感じる),蓑虫(みのむし)鳴く(秋風が吹くと父を慕って泣くという),迎火,送火,灯籠,虫の声,名月(十五夜の月),紅葉,夜寒(よさむ)(晩秋の夜分に覚える寒さ),夜長(よなが)(秋の夜の長さ),渡り鳥,七夕(たなばた),夜なべ(秋の夜業),茸(きのこ),新酒(新米で醸造した酒),竜田姫(秋の女神),残暑(立秋後も残る暑さ),新涼(秋の涼しさ),星月夜(ほしづきよ)(星の光の明るい夜)。
[冬]
 小春(こはる)(陰暦10月の異称),師走,寒の入り(冬至の後15日目。…

※「竜田姫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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