等妙寺旧境内(読み)とうみょうじきゅうけいだい

国指定史跡ガイド 「等妙寺旧境内」の解説

とうみょうじきゅうけいだい【等妙寺旧境内】


愛媛県北宇和郡鬼北町芝にある寺院跡。県の南西部、鬼ヶ城連山の郭公岳(かっこうだけ)(標高1010m)の北麓、標高300mほどに立地する天台律宗寺院。1320年(元応2)、恵鎮孫弟子、理玉(りぎょく)の開基で、法勝寺の遠国四ヵ戒場の一つとなった。1588年(天正16)に火災によって全焼したが、江戸時代には宇和島藩主伊達氏の庇護を受けて再興された。旧境内地は北に開く谷を造成した南北約400m、東西250mの範囲に4つの地区に分かれ、このなかに礎石建物などをともなう平坦面が合計約20ヵ所みられる。最も広い平坦部が本坊で、その石積みは高さ6m、長さ25m。谷を隔てた東方地区には2つの集石墓群がある。貿易陶磁器、国産陶器、土師器(はじき)、金属製品など多様な遺物が出土しており、この寺院が14世紀から16世紀に営まれたことを示している。天台律宗の実態については不明なところが多いが、等妙寺旧境内は、鎌倉仏教の戒律復興運動の具体的な様相を示すものとして重要なことから、2008年(平成20)に国の史跡に指定された。JR予土線近永(ちかなが)駅から車で約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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