筑後将士軍談(読み)ちくごしようしぐんだん

日本歴史地名大系 「筑後将士軍談」の解説

筑後将士軍談
ちくごしようしぐんだん

三冊 矢野一貞著

成立 嘉永六年

写本 篠山神社文庫

解説 筑後国の国史。著者矢野一貞(幸太夫・竹楼・柏葉)は久留米藩士で、禄高二〇〇石・馬廻組に属し藩校明善堂出役。万延元年組頭格国学引立を経て、文久元年地誌編修を命じられ、元治元年開物方に勤務し物産の開発にあたった。慶応元年には国学熟達により先手物頭格に進み、同三年本書ほかの著作一箱を藩主に献上し褒賞された。古書・旧記を渉猟し、古蹟墳墓を踏査し発掘・研究してまとめたのが本書で、今日入手できない史料も多く含まれ貴重。巻一―二〇に磐井の乱から豊臣秀吉朝鮮出兵、巻二一―二八に関ヶ原合戦から島原の乱までの戦乱を扱い、巻二九―四四に大友氏から近世初期の筑後領主田中氏に至る諸家の系譜小伝、巻四五・四六に郡ごとの城館第宅、巻四七―五二に郡ごとの墳墓碑塔をまとめる。巻五〇・五一はおもな墳墓碑塔出土物の贅図を掲げ寸法を記し、巻五二はその贅図附編である。巻五三に列伝(雑人・官人・附)、巻五四―六〇に崇神から後光明に至る天皇ごとの年表を記す。

活字本 大正一五年から昭和二年に筑後遺籍刊行会が「筑後国史」と題して三冊本を刊行。昭和四七年に同書を校訂・補訂した三冊本が復刻。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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