筒抜(読み)つつぬけ

精選版 日本国語大辞典 「筒抜」の意味・読み・例文・類語

つつ‐ぬけ【筒抜】

〘名〙 (形動)
① 筒の底が抜けていること。また、そのようにさえぎりとめるもののないさま。
千鳥(1906)〈鈴木三重吉〉「筒抜けの鑵詰の殻を嵌めて」
② 底の抜けた筒に物を入れたときのように、中にとまらないで素通りすること。
※諷誡京わらんべ(1886)〈坪内逍遙〉五「耳は二つとも満足なれども、世にいふ筒耳といふものにや。頗る緊切(たいせつ)なる大事を聞ても、右から左へと筒抜(ツツヌケ)にする事あり」
③ 話し声・音などが、そのまま他の人に聞こえること。
浄瑠璃・本朝三国志(1719)三「なふ声高い、御前へつつぬけ」
談話・相談・計画などの内容がそっくり他に伝わること。話したことがすぐに他に漏れること。
※浄瑠璃・生玉心中(1715か)上「惚られ自慢でもう其事を触れ歩く、それであいつが名をつつぬけと付て置」
⑤ 雨がはげしく漏ること。筒漏り。

つつ‐ぬ・ける【筒抜】

〘自カ下一〙
① 筒の底が抜ける。また、そのようにさえぎるものがなく抜け通る。
赤痢(1909)〈石川啄木〉「松太郎は筒抜けた様な驚喜の声を放った」
② 話し声・音などが、そのまま他の人に聞こえる。
※浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上「ここの咄が奥の座敷へつつぬけ、お客様は無興(ぶけう)顔」

つつ‐ぬかし【筒抜】

〘名〙
① 素通りに通り抜けさせること。
※俳諧・崑山集(1651)一〇「つつ井筒つつぬかしなり水の月〈貞利〉」
② 筒の中を通り抜けるように、聞いたことをすぐ他人に伝えること。また、その人。
※俳諧・毛吹草追加(1647)上「見るとかたれ詞の花の筒ぬかし〈正良〉」

つつ‐ぬき【筒抜】

〘名〙 筒を引き抜くように、首を抜き取ること。
※虎明本狂言・朝比奈(室町末‐近世初)「さればふるこうりがつつぬきさげぎり、かずをしらず」

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