箭括麻多智(読み)やはずのまたち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「箭括麻多智」の意味・わかりやすい解説

箭括麻多智
やはずのまたち

6世紀前半の常陸(ひたち)(茨城県)地方の豪族。『常陸国風土記(ふどき)』に、行方(なめかた)郡の開発を指導した伝承がある。6世紀前半の継体(けいたい)朝に、行方郡の霞(かすみ)ヶ浦に沿う谷の低湿地から夜刀神(やとのかみ)(蛇の神格化)を追い払い谷戸(やと)田10町余を開墾し、夜刀神の社(やしろ)を設けて代々祭祀(さいし)したと伝える。箭括氏は、矢矧(やはぎ)(矢作)、箭集(やつめ)(矢集)などに共通する矢作りを担当する職業部に由来する氏族であろう。

[佐々木虔一]

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改訂新版 世界大百科事典 「箭括麻多智」の意味・わかりやすい解説

箭括麻多智 (やはずのまたち)

夜刀神(やとのかみ)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の箭括麻多智の言及

【夜刀神】より

…〈ヤト〉〈ヤツ〉は谷あいの低湿地のこと。伝承によると継体天皇の時代に箭括麻多智(やはずのまたち)という豪族が〈西の谷の葦原〉の開墾を始めたが,夜刀神の群に妨害された。激怒した麻多智は鎧(よろい)を着て仗(ほこ)を取り神々を打ち払い,杭を立てて境界を設定し,みずから祝(はふり)(祀祭者)となって夜刀神をまつった。…

※「箭括麻多智」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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