常陸国風土記(読み)ひたちのくにふどき

精選版 日本国語大辞典 「常陸国風土記」の意味・読み・例文・類語

ひたちのくにふどき【常陸国風土記】

  1. ひたちふどき(常陸風土記)

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日本歴史地名大系 「常陸国風土記」の解説

常陸国風土記
ひたちのくにふどき

一冊

別称 常陸風土記

分類 地誌

写本 国会図書館・東京大学史料編纂所・茨城県歴史館ほか

版本 内閣文庫・茨城県歴史館ほか

解説 和銅六年五月の令によって作成され、現存する五風土記の一つ。成立養老二年五月以前、または霊亀元年以前と考えられている。編修者は藤原宇合説、高橋虫麻呂説などがある。延宝五年に加賀前田家所蔵本を水戸藩で筆写し(彰考館)、これを祖本として約四〇部の写本がある。天保一〇年に西野宣明校訂・標注本が出版された。常陸国一一郡中九郡が記され、総記と行方郡のほかは省略部分がある。四六駢儷体の美文が所々に配され、文学的価値も高い。和銅の令に従い地勢・物産・地名説話伝説歌など奈良時代の歴史・生活を知るうえで重要。

活字本群書類従二八、「寧楽遺文」下、「風土記」(昭和三三年)、「茨城県史料古代編ほか

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常陸国風土記」の意味・わかりやすい解説

常陸国風土記
ひたちのくにふどき

常陸国 (茨城県) に関する古代の地誌。1巻。和銅6 (713) 年の官命によってつくられた「古風土記」の一つ。現在省略本しか伝わらない。養老2 (718) 年以前の筆録もとに,同7年頃までに完成したと推定されている。最終的編纂,筆録者として当時常陸国司であった藤原宇合 (うまかい) ,宇合の下僚であったらしい万葉歌人高橋虫麻呂の名があげられている。ほぼ純粋な漢文体を基調とし,四六駢儷 (べんれい) 体で文章を飾ろうとする意識が濃厚。伝説,説話を多量に含み,現存古風土記中最も文学性が高い。内容的には日本武尊関係の伝承の多いことが注目される。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「常陸国風土記」の解説

常陸国風土記
ひたちのくにふどき

諸国風土記の一つ。冒頭に「常陸国司解申古老相伝旧聞事」とあり,715年(霊亀元)の郷里制施行以前の状態を示すことから,713年(和銅6)の風土記撰進の官命の直後に上申されたものらしい。常陸国の沿革に始まり,各郡の地名起源説話や伝承が続くが,現存諸本では白壁(真壁)・河内両郡の記事を欠き,行方(なめかた)郡以外は記事を省略した注記が存在する。駢儷体(べんれいたい)による華麗な文章が随所にみられ,現存風土記中で最も漢文調が強い。内容的には孝徳朝における総領による建郡(評)記事など,歴史史料としても重要な価値をもつ。「日本古典文学大系」所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「常陸国風土記」の意味・わかりやすい解説

常陸国風土記
ひたちのくにふどき

地誌。一巻。718年(養老2)までの筆録をもとに722、723年ごろに完成したものと推定される。説話が豊富で歌謡も多い。

[編集部]

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改訂新版 世界大百科事典 「常陸国風土記」の意味・わかりやすい解説

常陸国風土記 (ひたちのくにふどき)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の常陸国風土記の言及

【風土記】より

…むしろ下命された各条項を一括して上級官司(太政官または民部省)に奉答するという形で,当時の法律用語では(げ)とよばれる報告書として上申された公文書であるとするのが穏当であろう。すなわち現存の《常陸国(ひたちのくに)風土記》の冒頭に〈常陸国司解(げ)し申す,古老相伝の旧聞の事〉と書かれているのがその適例である。 これらの報告文書は,和銅(708‐715)当時の日本の総国数を62国とすれば60巻を越す大集成となり,そのころ編修されていた《日本書紀》を縦糸とすれば,これは横糸となるはずのものであった。…

※「常陸国風土記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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