日本大百科全書(ニッポニカ) 「節用料理大全」の意味・わかりやすい解説
節用料理大全
せつようりょうりたいぜん
四条流の料理指南書。四条家高嶋(たかしま)氏撰(せん)とあるが、四条流関係の文献や『料理物語』(1643)、『合類日用料理抄』(1689)などから必要箇所を取捨選択して編集したもので、オリジナリティーは少ない。1714年(正徳4)の刊行。式正(しきしょう)料理の盛り方は挿絵で説明してあり、海老(えび)舟盛、鴨(かも)の羽盛(はもり)なども図解してあって一目瞭然(りょうぜん)で便利な本である。そのため、上流社会ではつねに手元に置いて辞典的に使われていたようである。料理全般について書かれているが、鳥料理、魚の刺身、魚類の吸い物などの仕様が詳しい。撰者の高嶋氏についてはつまびらかでない。
[小柳輝一]