米遣い(読み)こめづかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「米遣い」の意味・わかりやすい解説

米遣い
こめづかい

国家・社会の経済の仕組みが米を軸にして形成されていること。江戸時代を特徴づける語。江戸時代は「石高制(こくだかせい)社会」とも「米遣い社会」ともいわれ、米が重要な意味をもつ社会であった。弥生(やよい)時代に始まった米作は、戦国時代になって著しく発展したが、太閤(たいこう)検地・徳川氏検地により石高制が確立すると、米は最大の商品として諸物価の基準となり、すべての価値尺度ともなった。江戸、大坂、わけても大坂に中央市場が形成されるようになると、幕府は大坂堂島(どうじま)の米市場や江戸浅草蔵前(くらまえ)の米相場を調整することにより全国の経済を左右することができた。しかし後期になると、米価に伴わない諸物価の変動がみられ、米遣い経済体制はしだいに弱体化していった。

[土肥鑑高]

『土肥鑑高著『米と江戸時代』(1980・雄山閣出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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