粘液嚢胞(読み)ねんえきのうほう(英語表記)Mucous cyst

六訂版 家庭医学大全科 「粘液嚢胞」の解説

粘液嚢胞
ねんえきのうほう
Mucous cyst
(口・あごの病気)

どんな病気か

 唇や舌、頬の粘膜の下には、唾液分泌するたくさんの小唾液腺(しょうだえきせん)があります。米粒くらいの大きさですが、口のなかの粘膜をいつも湿らせておく役目があります。粘液嚢胞はこの小唾液腺からの分泌がうまく行われずに、周囲の組織中に唾液がたまって生じる嚢胞です(図12)。

 原因としては、粘膜を()んだり、歯の先端が当たることを繰り返しているうちに生じると考えられます。

症状の現れ方

 粘液嚢胞は下唇に生じることが最も多く、直径5~15㎜の丸くて軟らかい腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)です。嚢胞のなかには唾液がたまっており、淡黄色の澄んだ粘稠(ねんちゅう)な(粘りけのある)液体です。嚢胞は大きくなると青紫色になり、血管も透けて見えるようになります。

 自覚症状は、何となくはれている感じがするだけです。噛んだり針を刺してたまった唾液が流れ出すと、はれは消えますが、数日で再びはれてきます。

治療の方法

 局所麻酔をして、嚢胞だけでなく原因になった小唾液腺も切除します。凍結外科やレーザーメスを使った方法もあるので、担当の医師とよく話し合ってください。

式守 道夫, 後藤 昌昭


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「粘液嚢胞」の解説

ねんえきのうほう【粘液嚢胞 Mucous Cyst】

[どんな病気か]
 小豆あずき)大から大豆(だいず)大の半球形をしたやわらかい、やや暗赤色腫瘤(しゅりゅう)(こぶ状の腫(は)れ)で、下くちびる、頬(ほお)の内側の粘膜(ねんまく)、舌の先にできる良性腫瘍(しゅよう)です。ほとんど痛みをともないません。
 歯の先が粘膜にあたる、あるいは粘膜をかむくせがあるなどの慢性的な刺激が加わるために、粘液腺(ねんえきせん)の排泄管(はいせつかん)の狭窄(きょうさく)がおこり、粘液がたまって嚢胞(袋のような腫瘤)をつくります。
 手術によって腫瘤を摘出することで完治します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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