粘液腺(読み)ネンエキセン

デジタル大辞泉 「粘液腺」の意味・読み・例文・類語

ねんえき‐せん【粘液腺】

主に体表粘液を分泌する腺。動物では消化管などに多数分布する。昆虫では雌の膣に開口するものをいい、産卵時に卵を粘着させる物質を分泌する。植物では食虫植物などにみられる。

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精選版 日本国語大辞典 「粘液腺」の意味・読み・例文・類語

ねんえき‐せん【粘液腺】

〘名〙
① 粘液を分泌する外分泌腺。一以上多数の粘液細胞からなる。多くの動物の皮膚表皮に分布する。脊椎動物では口腔鼻孔気道、消化管などに多数存在し、粘膜形成に加わっている。〔医語類聚(1872)〕
② 腹足類の輸卵管末端部にある矢嚢に接する数個の指状物の腺。卵の被覆物を分泌する。
昆虫類の雌の膣に開口する左右一対の指状の腺。卵に粘着性をもたせる。

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栄養・生化学辞典 「粘液腺」の解説

粘液腺

 粘液産生細胞によって構成される腺.口腔,咽頭,気管その他に分布.

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世界大百科事典(旧版)内の粘液腺の言及

【外分泌腺】より

…(1)腺体と道管の形態による分類 腺体の外形が管状のものを管状腺,ふくろ状のものを胞状腺,胞状腺の終末部をひきのばした形を管状胞状腺,分枝するのを分枝腺といい,道管の枝分れするのを複合腺,しないものを単一腺という。(2)分泌物の性質による分類 粘性の小さい液体を分泌する漿液(しようえき)腺(膵臓(すいぞう)の外分泌腺・耳下腺・涙腺などで,分泌物にはタンパク質が多量に含まれ,腺細胞には粗面小胞体がよく発達している),粘液を分泌する粘液腺(消化管・気管・顎下(がつか)腺などにあり,粘液の主成分はムチンで,多糖類の硫酸エステルをふくむ複合タンパク質である)および脂肪を分泌する脂腺(皮脂腺などで,この細胞には小管状の滑面小胞体がよく発達し,絨毛(じゆうもう)状のクリスタをもつミトコンドリアがみられる)。(3)分泌物の放出形式による分類 (a)全分泌(皮脂腺)は,分泌物が充満するため核は萎縮し,死んだ細胞が全体として分泌されることをいう。…

【腺】より

…もっとも卵巣,精巣は,上記のように脊椎動物では性ホルモンを分泌する内分泌腺でもあるので,これら二つの意味をからませて生殖腺または性腺といわれることが多い。なお,植物にもみつ腺や粘液腺といった腺組織がある。【川島 誠一郎】
【ヒトの腺】
 腺では普通,腺細胞glandular cellが集団をなして分泌機能を営むが,腺細胞が単独に散在することもあり,この場合は細胞がすなわち1個の腺であるといえる。…

【粘液】より

…生体内でつくられる粘性の高い液体をいい,粘液腺mucous glandで生産,分泌される。これに対して,漿液(しようえき)腺でつくられる粘性の低い液体は漿液と呼ばれる。…

※「粘液腺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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