粟岬(読み)あわのさき

日本歴史地名大系 「粟岬」の解説

粟岬
あわのさき

古代にみえる地名。「日本書紀」景行天皇一八年七月七日条によると、景行天皇は「御木国」から「八女県」に至る途中、藤山ふじやまから南方の粟岬を望み見て、山の峰々の重なる美しさにその山に神はいるかと問うた。このとき水沼県主猿大海が八女津媛という女神がいると答えたことから八女国の名が起こったと伝える。「御木国」は筑後国三毛みけ郡、「八女県」はのちの上妻かみつま郡・下妻郡を含む地域の古称であろう。藤山は現久留米市藤山付近と考えられるので、粟岬はそこから南方に位置することになる。遺称地はないが、律令制下の官道に先行する、いわゆる藤山道のルート上に位置すること、およびそれに沿って確認される古墳などの存在から、現大牟田市黒崎くろさき付近に比定されるか。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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