デジタル大辞泉 「御前」の意味・読み・例文・類語
ご‐ぜん【御前】
1 貴人・主君などの座の前、または、面前。おまえ。おんまえ。みまえ。「陛下の
2 神仏や神社仏閣を敬っていう語。また、神主・住職を敬っていう語。
「わしが死んでも―さんに相談して」〈康成・十六歳の日記〉
3 貴人や高位の人の敬称。また、その妻の敬称。
「―御寝なりて、御覧ぜず成りにき」〈今昔・二四・三〇〉
4 《「
「かの―、随身、車
5 近世、大名・旗本、またその妻の敬称。
「ある大名の―死去の後」〈浮・一代女・一〉
[代]二人称の人代名詞。
1 高位高官の男性を敬っていう。
「―の
2 婦人を敬っていう。
「―たち、さはいたく笑ひ給ひて、わび給ふなよ」〈宇治拾遺・一四〉
3 近世、大名・旗本、また、その妻を敬っていう。
「―の御出でなさるる儀ではござりませぬ」〈伎・毛抜〉
[接尾]
1 神の名に付いて、尊敬の意を表す。「竜王
2 人を表す名詞に付いて、尊敬の意を表す。「六代
3 特に白拍子の名に付いて、敬称として用いる。「静
お‐まえ〔‐まへ〕【▽御前】
1 神仏・貴人のおん前。おそば近く。みまえ。ごぜん。「主君の
2 貴人を間接にさして敬意を表す言い方。「…のおまえ」の形でも用いる。
「かけまくもかしこき―をはじめ奉りて」〈枕・二四〉
「宮の―の、うち笑ませ給へる、いとをかし」〈枕・二七八〉
[代]《古くは目上の人に対して用いたが、近世末期からしだいに同輩以下に用いるようになった》二人称の人代名詞。
1 親しい相手に対して、または同輩以下をやや見下して呼ぶ語。「
2 近世前期まで男女ともに目上の人に用いた敬称。あなたさま。
「私がせがれにちゃうど―ほどながござれども」〈浄・阿波鳴渡〉
[類語]君・貴様・
ご‐ぜ【御▽前】
[名]貴人。または、貴人の座前。
「えびすの―の腰掛けの石」〈虎明狂・石神〉
[代]二人称の人代名詞。婦人に対して用いる尊敬語。
「や、―、―、と言ひけれども音もせず」〈義経記・七〉
[接尾]人を表す名詞に付いて、その人に対する尊敬の意を添える。「尼
[補説]ふつう、女性に対して用いるが、男性に対しても用いることがある。
「やや副将御前、こよひはとくとく帰れ」〈平家・一一〉