糧長(読み)りょうちょう(その他表記)liang-zhang; liang-chang

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「糧長」の意味・わかりやすい解説

糧長
りょうちょう
liang-zhang; liang-chang

中国,明の税糧徴収および輸送任務とする徭役の一種。里甲正役に準じるもので,洪武4 (1371) 年に税糧1万石を出す地域を1区とし,区ごとに1名 (のち正副2名) の糧長をおいた。彼らは地方の有力地主で大きな権威をもち,なかにはそれを利用して不正を働く者もあった。しかし負担も重かったので破産する者も多く,のちには数戸共同でその任にあたる場合も生じた。またその職能を分割して負担の軽減をはかることも行われ,糧長の名を使わなくなった地方もあった。

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世界大百科事典(旧版)内の糧長の言及

【徴税請負】より

…【佐藤 次高】
【中国】
 中国では徴税請負が公式な制度となったことはない。近世を例にとった場合,政府は行政の末端として組織した村落機構の役員である里正あるいは里長,また租税徴納のために任命された明代の糧長などに徴税の責任を負わせ,彼らも定められた税額を確保するために手段を尽くし,ときには税額以上のものを徴収して私腹に入れることもあったから,これを徴税請負とみなす見解もある(里甲制)。しかし里正らは徴税の仕事を通じて利益を得ることを認められているわけではなく,逆に税額確保のためには個人的損失をともなうことの方が多かったと考えられる。…

※「糧長」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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