改訂新版 世界大百科事典 「紫雲出遺跡」の意味・わかりやすい解説
紫雲出遺跡 (しうでいせき)
香川県三豊市の旧詫間町大浜の紫雲出山(しうでやま)/(しうんでやま)(352m)の山頂にある,弥生時代中期後半の高地性集落遺跡。三崎半島中央部の最高点に位置し,備讃瀬戸から燧(ひうち)灘を一望できる要衝を占める。1947年に発見,55-57年に発掘され,山頂に広く分布する包含層の一部に小貝塚のあることや,住居跡とおもえる列石遺構を確認した。多量の土器とともに石鏃,石鎗,石錐,石庖丁など豊富な打製石器のほか磨製石斧,凹石(くぼみいし),石錐が検出され,その他分銅形土製品,貝輪,鉄器片,角器などを伴った。注目すべきものとしては炭化したシコクビエの塊が相当量出土したことで,弥生時代の畑作物の例として貴重な資料である。瀬戸内海沿岸各地や島嶼部山頂に分布する高地遺跡の中では規模の大きな例といえる。
執筆者:坪井 清足
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