シコクビエ(読み)しこくびえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シコクビエ」の意味・わかりやすい解説

シコクビエ
しこくびえ / 四国稗
[学] Eleusine coracana Gärtner

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。アフリカおよびインド原産と考えられる。オヒシバ近縁で、雑穀として栽培される。サバナ農耕文化の指標作物でもある。日本への伝来年代は未詳であるが、かなり古い時代に中国を経て伝来したとみられる。四国で多く栽培されたとしてこの名があるが、近年まで全国的に山間で少量ずつ栽培されていた。外国ではエチオピアスーダン作付けが多く、インドでは西海岸を中心にシコクビエを主食とする地域がある。

 茎は高さ1~1.5メートル。伸長節間と不伸長節間とが交互にあるので、1節から2葉が出ているようにみえる。茎頂に長さ10センチメートルの花柄を輪生するので、この形を鳥や竜のあしに見立てて、竜爪稷、鴨脚稗の字をあてている。果実は穎果(えいか)で小穂に密生する。長さ1.5ミリメートルの球形で、熟すと容易に脱粒する。昔から焼畑の作物として利用され、栽培方法はヒエに準じる。一部では移植栽培も行われる。精白して粥(かゆ)とし、また粉にして団子やパンをつくる。粘り気がないので、モチアワやキビの粉を混ぜる。東南アジアではもやしをつくって醸造用にも使われる。茎葉は家畜飼料にする。

[星川清親 2019年8月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シコクビエ」の意味・わかりやすい解説

シコクビエ(四国稗)
シコクビエ
Eleusine coracana; finger millet

イネ科の一年草。一名コウボウビエ。インドから中央アジアにかけての原産で,中国を経て日本に伝えられた。オヒシバに似ているが,全体に大型で高さ 90cmにもなり,花穂も太く長い。穎果はやや大型で黄赤色に熟し,ヒエと同様に食用または家畜や鳥の飼料として栽培されることもある。

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