日本大百科全書(ニッポニカ) 「凹石」の意味・わかりやすい解説
凹石
くぼみいし
石の面に1、2か所または多数の凹みのある縄文時代の石器。1、2か所凹みのある石は円形、楕円(だえん)形の礫(れき)の両面あるいは片面に浅い凹みがあり、凹みに指をかけて磨石(すりいし)と同じように石皿の上で転がして食物を粉砕する道具という説と、火鑽杵(ひきりぎね)の上押さえの道具とする説とがある。この凹石には多孔質安山岩や砂岩が用いられ、磨石の石質に似ている。多数の凹みのある凹石は雨垂石(あまだれいし)、蜂巣石(はちのすいし)ともよばれ、緑泥片岩や安山岩の大きな扁平(へんぺい)石あるいは石皿の背面に多数の凹みをもつもの。火鑽臼(うす)とする説とクルミ類堅果(けんか)の殻割具(からわりぐ)とする説とがあり、実験的な例では殻割具とするのが有力である。
[十菱駿武]