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経口血糖降下薬 けいこうけっとうこうかやくoral hypoglycemic drug

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

経口血糖降下薬
けいこうけっとうこうかやく
oral hypoglycemic drug

飲んで血糖を下げ,糖尿病をコントロールする薬で,スルフォニール尿素剤ビグアナイド剤の2種類の薬剤がある。糖尿病患者の約3分の1が用いている。服用者は,医師の指示および食事制限を守らなければならない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

経口血糖降下薬
けいこうけっとうこうかやく
oral hypoglycemic agent

経口血糖降下剤。経口糖尿病薬ともいう。経口投与で血糖を下げる薬の総称。
(1)スルホニル尿素薬(SU薬)
 トルブタミド、クロルプロパミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミドといった第一世代SU薬に続いて、第二世代のグリベンクラミド、グリクラジド、第三世代のグリメピリドへと発展した。膵β(すいベータ)細胞上に存在する、SU薬に特異的な受容体と結合することにより、インスリンの分泌を促進し血糖を下げる。
(2)ビグアナイド薬
 メトホルミン、ブホルミンの2品目がある。
 作用機序(メカニズム)は、肝臓での糖新生の抑制、末梢(まっしょう)組織でのグルコース利用の亢進(こうしん)、腸管からのグルコース吸収抑制などで、インスリン分泌刺激作用はない。インスリン抵抗性を改善することにより血糖を正常化する。SU薬に勝る点は体重増加がみられないことである。SU薬の効果が不十分、あるいは副作用で使用できない場合に限り使用される。
(3)チアゾリジン薬
 ピオグリタゾン塩酸塩の1品目。作用機序は骨格筋および肝臓でのインスリン感受性の改善で、インスリン抵抗性改善薬。2型糖尿病でインスリン抵抗性が推定され、ほかの薬剤が効果不十分な場合適用される。
(4)速効型インスリン分泌促進薬
 ナテグリニド、ミチグリニドの2品目。SU薬と化学構造は異なるがSU薬受容体結合に依存する経路と、それ以外の直接作用を介して、膵β細胞からのインスリン分泌を促進する。消化管からの吸収が速く、持続時間は短い。2型糖尿病における食後血糖推移の改善を適用とし、食後血糖の上昇を解消する。
(5)α(アルファ)-グルコシダーゼ阻害薬
 ボグリボース、アカルボース、ミグリトールの3品目がある。α-グルコシダーゼは二糖類をグルコースやフルクトースなど単糖類に分解する酵素の総称で、この作用を阻害することにより、糖質(炭水化物)の消化、吸収を遅延させるため、食後の急激な血糖上昇が抑制される。糖尿病の食後過血糖改善を適用とする。
(6)DPP-4阻害薬
 DPP(ジペプチジル・ペプチダーゼ)-4は消化管ホルモンであるインクレチンの作用を不活性化する酵素である。インクレチンは膵β細胞に作用してインスリンの分泌を促進するホルモンの総称で、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)が確認されている。2型糖尿病ではGIPのインスリン分泌促進能は低下するが、GLP-1のインスリン分泌促進能は比較的保持されていることがわかり、新しい糖尿病治療薬としてGLP-1の補充、増強による治療法の開発が始められた。DPP-4阻害薬は、生体内でGLP-1の不活性化を遅らせることにより、血糖の上昇を抑制する。シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチンがある。いずれも2型糖尿病における血糖コントロールの改善を適用とし、食事・運動療法の補助薬として単独および他剤と併用される。低血糖になりにくく、HbA1C(ヘモグロビンA1C)値の低下が認められている。
 DPP-4阻害薬と、注射薬として使用されているGLP-1受容体作動薬のリラグルチド、エクセナチドを含めてインクレチン関連薬と称している。[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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