…そのほか,前田千寸《日本色彩文化史》が列挙するごとき,日本では紫雲によって皇后の位を象徴することが行われたこと,紫雲は必ずしも阿弥陀如来の象徴とのみ限られているのではないが,平安時代中期以後にみる仏教的象徴の紫雲は,当時の信仰が阿弥陀如来に集中していたため多く阿弥陀如来に結ばれていること,そして紫雲は〈冥(みよう)〉すなわち神仏の意志の示現という意味で,聖人,名宝等に関する事跡との間に必然的な関連性を与え,伝説的な神秘性を加えて,その事跡に尊厳を添えたことなどの諸特性をも視野の中にとらえておく必要があろう。 紫色は,また,平安時代に〈ゆかりの色〉と呼ばれた。それの由来を《古今和歌集》の〈紫のひともとゆゑにむさし野の草はみながらあはれとぞみる〉に求める説明が普通に行われているが,紫色のもつ位階・身分の尊貴性と,〈ゆかり〉(血縁とか,仏教語の縁とか,なんらかの必然的なつながりとかの意味で用いられた)の思想性との一致は,《源氏物語》のなかにその典型が見いだされる。…
※「縁の色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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