拾遺愚草(読み)シュウイグソウ

デジタル大辞泉 「拾遺愚草」の意味・読み・例文・類語

しゅういぐそう〔シフヰグサウ〕【拾遺愚草】

鎌倉時代私家集。4巻。藤原定家自撰。建保4年(1216)3巻成立天福元年(1233)までに増補。上・中・下巻員外雑歌からなり、3800余首を収める。六家集の一。

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精選版 日本国語大辞典 「拾遺愚草」の意味・読み・例文・類語

しゅういぐそうシフヰグサウ【拾遺愚草】

  1. 鎌倉初期の私家集。藤原定家和歌を収める。自撰。本編三巻と員外の四巻から成る。総歌数は三七五五首。建保四年(一二一六)に成立、その後天福元年(一二三三)に出家するまでのものを加えている。書名は自撰為時拾遺侍従唐名)の職にあったことと、「定家卿百番自歌合」の遺りを拾う意とを掛けていう。六家集の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「拾遺愚草」の意味・わかりやすい解説

拾遺愚草
しゅういぐそう

藤原定家(ていか)の家集。「拾遺」は侍従(じじゅう)の唐名(とうみょう)で定家の官職名。上中下の3巻は1216年(建保4)に成立し、その後も出家時の1233年(天福1)まで増補。上巻は初学(しょがく)百首から関白左大臣家百首までの15種の百首、中巻は韻歌(いんか)128首から女御入内屏風歌(にょうごじゅだいびょうぶうた)の12種の作品、下巻は四季、賀、恋、雑の部類歌を収める。本集には、10代後半の習作期の歌から、新風開拓に苦心し、世間から達磨(だるま)歌と評された文治(ぶんじ)・建久(けんきゅう)期(1185~99)の歌をはじめ、その長い作歌活動の生涯の大部分の詠作が集められている。伝本は、(1)自筆本系(定家自筆本。冷泉為臣(れいぜいためおみ)編『藤原定家全歌集』に翻刻。1940・文明社)、(2)来田(らいた)本系(定家自筆の草稿本)、(3)六家集本系(自筆本に後人の増補)がある。『拾遺愚草員外(いんがい)』1巻は、正編3巻の完成後、早い時期に補足したもので、1237年(嘉禎3)ごろに大部分が完成。巻末の藤川百首は後人の追加である。

[有吉 保]

『赤羽淑著『藤原定家全歌集全句索引』(1974・笠間書院)』

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改訂新版 世界大百科事典 「拾遺愚草」の意味・わかりやすい解説

拾遺愚草 (しゅういぐそう)

藤原定家の自撰家集で,伝本は定家自筆本(冷泉家蔵)ほか3系統。1216年(建保4)に上中下3巻を編み,のち33年(天福1)ころまで自身で増補。上巻は百首歌,中巻は韻字歌や五十首歌などの定数歌を,下巻は十五首歌以下の作品や贈答歌を収める。古語を巧みに組み合わせ,本歌取りの手法を用いて,観念的世界を構築。なお,後に編んだ《拾遺愚草員外雑歌》1巻は,言語遊戯的な歌を収める。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「拾遺愚草」の意味・わかりやすい解説

拾遺愚草
しゅういぐそう

鎌倉時代の藤原定家の私家集。定家自撰。正編3巻,続編『拾遺愚草員外』1巻。約 3830首。建保4 (1216) 年草案が成り,のち数回にわたって増補。定家の代表作をほとんど載せており,新古今時代の私家集中最も注目すべきもの。室町時代正徹 (しょうてつ) が尊重し,東常縁 (とうつねより) はその注釈を行なった。六家集の一集。

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