強請呪術(じゅじゅつ)による祈願法の一つ。地蔵などを縄で縛り上げ、願い事をかなえてくだされば、縄をほどいてあげますというもの。福島市飯坂(いいざか)町茂庭(もにわ)の縛地蔵は、選挙、博打(ばくち)、入学試験に際し、事前に木像の地蔵に縄をかけて祈願し、成就すれば縄をほどく。東京都葛飾(かつしか)区水元(みずもと)の南蔵院は、もと本所区中之郷(現墨田(すみだ)区吾妻橋(あづまばし)3丁目)にあった。その石地蔵は縛地蔵とも縛られ地蔵ともいい、盗難除(よ)け、足止め、厄除けを祈願する人が縄で縛る。長野県小県(ちいさがた)郡塩田村(現上田市)の縄目地蔵は、干天に降雨を祈るとき石地蔵を荒縄で縛り、降雨があると縄を解くという。静岡市浄国寺の縛地蔵も、祈願者は縄で地蔵様を縛り、願(がん)がかなえば縄をとる。京都・鞍馬(くらま)の二軒茶屋横手の縄掛地蔵には、自分の願い事をかなえてくだされば、かけた縄をお解き申すといって祈願するという。呪術の場合は、人が神霊より対等以上の場合があるためである。
[井之口章次]
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