日本大百科全書(ニッポニカ) 「縞葉枯病」の意味・わかりやすい解説
縞葉枯病
しまはがれびょう
イネの病気で「ゆうれい」ともよばれ、ウイルスが病原である。北海道、東北地方北部を除いて全国に発生、とくに関東地方に多く、早期栽培の普及に伴って発生、増加している。葉に黄緑ないし黄白色のぼけた縞状の絣(かすり)模様が現れる。分げつ期の新葉では、黄白色でこよりのように巻いたまま伸び、弓状に曲がって垂れ下がる。分げつは少なく、被害イネは枯死するか、生き残っても穂が出ないものが多い。感染時期が早いほど被害は大きい。病原ウイルス、イネ縞葉枯ウイルスRice stripe virus(RSV)は枝分れした糸状粒子で、幅8ナノメートル、長さ400ナノメートル程度とみられている。このウイルスはヒメトビウンカによって媒介され、雌のウンカが一度保毒すると、ウイルスは卵を通じて幼虫に伝わり、数代にわたって伝染能力を持続する(経卵伝染)。防除は「むさしこがね」などの抵抗性品種を栽培し、ヒメトビウンカをMEP剤(「スミチオン」)、BPMC剤、エトフェンプロックス剤(「トレボン」)、カルタップ剤(「パダン」)、ブプロフェジン剤(「アプロード」)、イミダクロプリド剤(「アドマイヤー」)、ダイアジノン剤、マラソン剤などの殺虫剤で、越冬中、苗代期、本田初期に駆除する。
[梶原敏宏]