日本大百科全書(ニッポニカ) 「縮瞳薬」の意味・わかりやすい解説
縮瞳薬
しゅくどうやく
瞳孔を収縮させる薬剤。副交感神経興奮剤が用いられる。節後線維支配の効果器官に直接作用して瞳孔括約筋を収縮させるものに塩酸ピロカルピン(0.5~4%溶液)、同眼軟膏(なんこう)(1%含有)があり、コリンエステラーゼを阻害しアセチルコリンの分解を抑制して副交感神経興奮作用を示すものとしてフィゾスチグミン(エゼリン、0.2~1%溶液または眼軟膏)がある。これらは眼内圧を低下させるので、緑内障の治療薬としても用いられる。このほか、臭化ジスチグミン点眼液(0.5%、1%含有)、メチル硫酸ネオスチグミン(1ミリリットル中に0.05ミリグラム含有、仮性近視や眼精疲労に用いる)、ヨウ化エコチオフェイト(0.06%、0.125%含有)、エチルスルホン酸エチルパラニトフェニール(0.00125%、0.0025%含有)、カルバコール(0.5%、0.75%含有)があり、1974年にピロカルピンの眼科用徐放剤「オキュサート‐P20」、同「P‐40」がアメリカで開発され、日本でも1982年(昭和57)に市販された。
[幸保文治]