日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピロカルピン」の意味・わかりやすい解説
ピロカルピン
ぴろかるぴん
pilocarpine
中央・南アメリカ原産のPilocarpus jaborandiの葉から抽出されたアルカロイドで、その塩酸塩(塩酸ピロカルピン)が医薬品として用いられる。副交感神経作用薬で、縮瞳(しゅくどう)、唾液(だえき)分泌亢進(こうしん)、発汗、消化液分泌亢進、気管支分泌増大、消化管運動亢進、子宮・膀胱(ぼうこう)・胆管・気管支筋の収縮をおこす。アトロピンと拮抗(きっこう)する。塩酸ピロカルピンは無色の結晶または白色の粉末で無臭、味はわずかに苦い。毒薬で、製剤は劇薬。点眼液および眼軟膏(なんこう)として診断または治療のための縮瞳を目的とし、眼圧を低下させるので緑内障の治療に用いる。
[幸保文治]