能見堂跡(読み)のうけんどうあと

日本歴史地名大系 「能見堂跡」の解説

能見堂跡
のうけんどうあと

[現在地名]金沢区片吹

金沢かねさわ道を谷津やつから中里なかざと(現磯子区)に越える山上北側にある。諸書に濃見堂・仰見堂のほか、能化堂・のっけん堂・のっけ堂・のけ堂・野化堂などと記す。「風土記稿」によると寛文二年(一六六二)当時の領主旗本久世広之が、江戸の芝増上寺の子院地蔵院を移して当時廃れていた堂を再建し、擲筆山と称し、僧真達を中興開山とした。のち江戸高輪泉岳たかなわせんがく寺預となり、僧俊達の頃さらに転じて江戸千駄せんだの曹洞宗瑞円ずいえん寺末となったという。

文明一八年(一四八六)金沢を訪れた万里集九は「梅花無尽蔵」に「出金沢七八里許、攀最高頂、則山々水々、面々之佳致、昔画師金岡絶倒擲筆之処、有名無基、但其名不甚佳、相伝曰濃見堂也」と記し、「登々匍匐路攀高、景集大成忘却労、秀水奇山雲不裹、画師絶倒擲秋毫 画師擲筆之峰」の詩を載せる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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