六訂版 家庭医学大全科 「膀胱異物」の解説
膀胱異物
ぼうこういぶつ
Foreign body in bladder
(腎臓と尿路の病気)
どんな病気か・原因は何か
何らかの原因で膀胱内に異物が入ったものです。いたずらや
そのほか、魚の骨が腸を突き抜けて膀胱に入る場合や、手術の際に使用した糸などが膀胱内に残る場合もあります。尿道カテーテル留置中に、膀胱内でカテーテルが損傷した場合などにも膀胱異物となります。
症状の現れ方
膀胱異物は膀胱炎の原因となります。症状として
膀胱内に異物がある場合には、細菌などの病原体がつきやすいため、抗菌薬を投与しても完治しにくいことが多く、慢性膀胱炎の原因になります。また、膀胱異物が核となり膀胱結石ができることもあります。
検査と診断
病歴上、膀胱異物の診断が明らかな場合もありますが、X線や超音波検査、膀胱鏡検査などにより、膀胱内の異物を確認します。
治療の方法
可能であれば膀胱鏡で除去しますが、異物の大きさや形状によっては非常に困難な場合もあります。放置すれば膀胱炎、膀胱結石、膀胱
病気に気づいたらどうする
頻尿、排尿時疼痛、尿混濁、血尿、残尿感、下腹部違和感などの膀胱炎症状が続いたり繰り返したりする場合には、これまでの泌尿器系の病気の有無や生活習慣などをきちんと話し、泌尿器科の専門医に相談してください。また、異物を尿道内に入れることは避けなければなりません。
膀胱異物
ぼうこういぶつ
Foreign body in urinary bladder
(外傷)
どんな外傷か
異物が尿道から入る場合と、膀胱壁を通過して侵入する場合があります。
男性に多いといわれており、20代前後にピークがあります。女性では30歳前後に多く、いずれも性的活動期に相当します。
原因は何か
男性では自慰、性的行為、
女性では医療に関係するものが多く、たとえばカテーテルの破損物、手術時に使用した縫合糸、ガーゼなどがあります。また、外傷に伴う場合では、金属片、木片、骨片などがあります。
症状の現れ方
異物の膀胱粘膜への刺激による
検査と診断
X線検査、超音波断層検査、CTなどの画像による診断に加えて、膀胱鏡による観察で診断できます。
治療の方法
まず内視鏡を用いて、尿道から異物の摘出を試みます。
巨大なものや内視鏡操作では摘出が不可能な場合には、膀胱を切開して異物を取り出します。
応急処置はどうするか
異物の侵入に気づいた時点で、救急外来を受診することをすすめます。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報