日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガーゼ」の意味・わかりやすい解説
ガーゼ
がーぜ
Gaze ドイツ語
gauze 英語
経緯(たてよこ)とも甘撚(あまよ)りの糸を用いて粗く織ったきわめて薄手の平織で、漂白したのち、無糊(むのり)のまま使用する。ガーゼとは、西アジア、パレスチナ地方のガザGazaでつくられた織物からきているという。水分をよく吸収するので、包帯などの衛生用材料、または肌着、産着(うぶぎ)、ハンカチーフ、タオル地などに使われる。
[角山幸洋]
織ったままの粗ガーゼと脱脂した脱脂ガーゼがあり、医療用には、日本薬局方の規定により脱脂ガーゼを消毒調整したものが使われる。幅30センチメートルで長さ1メートルのものが家庭用、長さ5メートルのものが出産用、長さ10メートルのものが病院用として包装市販されている。細菌感染のおそれがない場合はそのまま使用するが、創傷の手当てや手術時などに使う場合は滅菌して用いる。医療の場では実に広範囲にわたって使用され、欠くことのできない衛生材料の一つである。わが国でガーゼのなかったころは、晒(さらし)木綿を10~20センチメートルに切り、ほぐして散糸(さんし)とし、平たくして綿散糸(めんざんし)とか「ほっしもめん」とよばれ、傷口などに当てた。
[山根信子]