デジタル大辞泉
「膀胱結石」の意味・読み・例文・類語
ぼうこう‐けっせき〔バウクワウ‐〕【×膀×胱結石】
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ぼうこう‐けっせきバウクヮウ‥【膀胱結石】
- 〘 名詞 〙 多くは腎盂・尿管結石が膀胱におちて生ずる疾患。頻尿、血尿、尿混濁、排尿時の痛みなどの症状がある。〔医語類聚(1872)〕
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ぼうこうけっせき【膀胱結石 Vesical Calculus】
[どんな病気か]
腎臓(じんぞう)や尿管(にょうかん)の結石が膀胱(ぼうこう)に下降したものと、膀胱内でできたものに分けられます。
尿道(にょうどう)は尿管よりも広いので、尿管を通って膀胱にきた結石は、ほとんど尿道から体外に排出されます。したがって膀胱に結石がとどまっているときは、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)(「前立腺肥大症」)、尿道狭窄(きょうさく)(「尿道狭窄」)など下部尿路の通過障害をおこす病気や、膀胱憩室(ぼうこうけいしつ)(尿路憩室(「尿路憩室」))、神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)(「神経因性膀胱」)、膀胱異物(「膀胱異物/尿道異物」)などがある可能性があります。
[症状]
結石があること、また合併する膀胱炎によって、頻尿(ひんにょう)や排尿痛、血尿などの症状がみられます。
膀胱結石特有の症状としては、排尿しているときに突然尿線がとぎれる二段排尿という症状がおこる場合もあります。
これらの症状と、腹部X線撮影、膀胱内視鏡検査によって診断は容易です。内視鏡検査をすれば、下部尿路(膀胱や尿道)に病気があるのかどうかも、だいたいわかります。
[治療]
結石の大きさと数によって治療方法が異なります。
結石が比較的小さく、数個以内の場合は、内視鏡を尿道から膀胱に入れ、結石を細かく砕いて取り出します。
結石を砕く方法には、電気水圧、レーザー、超音波などいろいろありますが、内視鏡につけた専用の鉗子(かんし)で砕くのが簡単です。結石が大きかったり、内視鏡による破砕ができないとか、結石の数が多いという場合には、下腹部を切開して手術で取り出します。
膀胱に結石がとどまっている場合、膀胱、前立腺や尿道に別の病気が合併することが多いので、それらの病気の治療も合わせて行なわれます。
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膀胱結石
ぼうこうけっせき
Cystolithiasis
(腎臓と尿路の病気)
膀胱結石は、前立腺肥大症などの下部尿路通過障害や神経因性膀胱、膀胱憩室(けいしつ)、長期臥床、長期膀胱内カテーテル留置などの場合に生じやすくなります。性差は4対1で、男性に多くみられます。結石の成分は尿酸結石または感染結石が多く、同心円層構造をとり、このなかに有機性基質や細菌などを含みます。
尿道に結石が詰まると、尿線の中絶などの排尿障害を起こします。また、頻尿、尿意切迫などの膀胱刺激症状も現れます。膀胱全摘出術後の代用膀胱に結石が生じるケースもみられます。
治療法は経尿道的尿管砕石術(TUL、コラム)と同様の方法で砕石します。亀田式膀胱砕石器で膀胱鏡下に破砕する方法もあります。
鶏卵大以上の大きな膀胱結石の場合には、開放手術を選択することもあります。これは、下腹部皮膚を切開し、膀胱を切開して結石を取り出す手術法です。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
膀胱結石 (ぼうこうけっせき)
bladder stone
vesical calculus
膀胱内に生ずる結石で,尿路結石の一つ。大部分の結石は腎臓で形成され,これが尿管を通って膀胱に落下したものである。前立腺肥大症や尿道狭窄のような尿道の通過障害がないかぎり,このような膀胱結石は速やかに尿とともに排出され,長期間膀胱内にとどまることはまれである。一方,膀胱内で形成される結石は,上記のような尿道の通過障害による膀胱内の尿停滞や,膀胱内の異物(自慰の目的で挿入されたものや,骨盤内手術の縫合用絹糸など)が原因となる。尿流の通過障害が起こりやすい高齢男子に多いが,腎結石の多発する20~30歳代の男性にも多い。腎結石にくらべて膀胱結石は近年減少の傾向にあるが,インドや東南アジアの一部には多いといわれている。症状は,頻尿,排尿痛,尿混濁,血尿のような膀胱炎の症状を主とするが,結石が尿流を妨げて排尿困難,尿閉などを起こすことがある。小結石は放置しても自然に排出するが,大きいものや,原因となる病気のあるものでは手術が必要となる。
執筆者:上野 精
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膀胱結石
ぼうこうけっせき
膀胱内にみられる結石。原発性の膀胱結石は日本ではまれにしかみられないが、東南アジアではいまでも局地的に発生している。子供に多く、低タンパク、低リン性の食餌(しょくじ)と慢性の下痢による脱水症が原因と考えられている。大部分は続発性である。腎(じん)結石が尿管を通過して膀胱内に落下しても、すぐに尿道を経て外へ出てしまい、それが膀胱内にとどまることはめったにない。もっとも多いのは前立腺(せん)肥大症や神経因性膀胱などがあって排尿力が弱く、膀胱内につねに尿が残るようになり、そこへ細菌感染を合併してできる結石である。膀胱憩室があるとやはり残尿を生じ、憩室内結石ができやすくなる。また、外部から挿入された膀胱内異物は結石の核となりうる。
症状としては尿線(排尿中の尿の流線)が排尿途中で突然止まってしまい、同時に亀頭部に放散痛を感ずることが多い。X線撮影または膀胱鏡により診断は容易である。小・中結石は膀胱砕石器、超音波、衝撃波などで細かく砕いて洗い出すが、巨大結石や憩室内の結石は膀胱を切開して取り出す。カルシウム含有結石は、クエン酸を主体にした特殊な薬液で溶解することも可能である。いずれにしても、原因疾患も同時に治療する必要がある。
[松下一男]
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膀胱結石【ぼうこうけっせき】
膀胱内に生ずる結石。膀胱で形成される場合もあるが,多くは腎臓など上部尿道からの落下による。頻尿(ひんにょう),血尿,また多くの場合細菌感染を伴うため膿尿などの症状がある。ときに排尿障害も起こる。X線検査で結石の陰影を認め,膀胱鏡で確認される。結石破砕療法または手術的な除去を行う。
→関連項目尿石
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膀胱結石
ぼうこうけっせき
urinary bladder stone
膀胱内にある尿路結石をいう。膀胱内で発生する場合 (原発性) もまれにあるが,腎臓結石が膀胱に落ちた場合 (続発性) とか,腎臓結石が膀胱内で成長した場合のほうが多い。膀胱炎を併発しやすく,頻尿,排尿痛があり,結石のために排尿困難をきたす。大きい結石は膀胱切開して摘出するほか,砕石用膀胱鏡や異物膀胱鏡を用いて除去できる。また,最近では経尿道的に超音波,レーザー,電気水圧衝撃波,微小発破 (微小な爆薬を爆発させる) などを使う砕石技術が開発されている。
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