自慰(読み)ジイ(その他表記)masturbation

翻訳|masturbation

精選版 日本国語大辞典 「自慰」の意味・読み・例文・類語

じ‐い‥ヰ【自慰】

  1. 〘 名詞 〙
  2. みずからなぐさめること。自分で自分をなぐさめて安心すること。
    1. [初出の実例]「僅に残れる蔭を頼みて自奉自慰して、苟くも満足するのみなり」(出典:鎖国論(1801)下)
    2. [その他の文献]〔嵆康‐琴賦〕
  3. 性交によらず、みずから性器を刺激することによって性欲の満足を得る行為。手淫。自涜。オナニー。
    1. [初出の実例]「自慰(ジヰ)をやるとか」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「自慰」の意味・わかりやすい解説

自慰 (じい)
masturbation

手淫,オナニーOnanie(onanism,《創世紀》38:9にあるオナンの記事に由来),マスターベーションともいう。ナルシシズムとともに自己愛の一種とされ,広くは他人なしに行う性的行為を指すが,普通は,性交相手なしに自己の生殖器(男子では亀頭,陰茎,女子では陰核,陰唇,腟口など)の直接刺激によって性的興奮を得ることをいう。直接刺激の方法としては手が用いられるが,その他器具を用いても行われる。一般には性的空想をしながら行われる。このように自慰には身体的・肉体的刺激とこれに随伴する性的空想が伴うのが一般である。幼児期の性器の刺激も広義の自慰と解釈されるが,真の自慰は思春期以後,性的オルガスムスが得られるようになってからのものをいう。したがって男子では精液の射出に伴う性的快感を覚えて初めて自慰を行ったとみなされ,その開始年齢のピークは15~16歳であるといわれ,20歳までには大多数のものが経験する。自分で自然に性器をいじっている間に覚える場合と,友人などから教わったり,その行為を目撃して行う場合などがある。一方,女子では一般に開始年齢も高く,その頻度も低い。自慰そのものの行為は一般に無害である。しかし,自慰行為に罪悪感を伴うこともあり,そのための性的神経症に陥ることもある。この場合,セックス・カウンセラーなどによる正しい指導が必要である。成人で結婚している場合でも,拘禁隔離などが原因で自慰を行うことがあるが,病的ではない。まれに精神遅滞統合失調症,てんかんなどで無抑制の病的な自慰をみることがある。なお,自慰行為に耽溺するあまり,尿道に鉛筆,ヘアピン,体温計などを挿入して行う場合があり,これによる尿道損傷などを生ずることもある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「自慰」の読み・字形・画数・意味

【自慰】じい(ゐ)

自ら慰める。魏・康〔琴の賦〕斯のの懿(いぼ)なるを嘉(よみ)し、(こ)のを詠じて以て自ら慰む。永くして厭(あ)かず、信(まこと)に古今の貴しとするなり。

字通「自」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「自慰」の意味・わかりやすい解説

自慰
じい
masturbation

性交によらず自分の性器を直接に刺激することによりオルガスムスを得ようとする行為で、オナニー、オナニスムともいう。多くは手によって性器を刺激し、手淫(しゅいん)ともいうが、手以外の器具を使用することもある。自慰をする際は性的空想を伴うのが普通である。

 自慰は思春期以後の性の成熟過程でごく自然に体験するもので、肉体的になんらの障害も与えず、性的欲求を満足させ、性的興奮を解放するという面からみれば、悪い行為とはいえない。自慰を罪悪視する考えが過去にあり、自慰に後ろめたい気持ちを感ずる人も少なくないが、この罪悪感こそがむしろ有害であり、自慰への偏見を生み出している。しかし、ときには知的障害などの病状に伴って抑制のない過度の病的自慰がみられることがあるので注意する。また、耽溺(たんでき)のあまり、体に危険な器具を使って尿道損傷をおこすこともある。

[白井將文]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自慰」の意味・わかりやすい解説

自慰
じい
masturbation; onanism

マスターベーション,オナニーともいう。手または性器の形をそなえた器具などによって,自分の性器を刺激し,性感を得ること。性的空想を伴うのが一般的であり,自慰そのものの行為は一般に無害であるが,罪悪感が高じた場合などには,性的神経症に陥ることもある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「破竹の勢いで連戦連勝する」[類語]強い・強力・強大・無敵・最強・力強い・勝負強い・屈強・強豪・強...

破竹の勢いの用語解説を読む