自由体積(読み)ジユウタイセキ

化学辞典 第2版 「自由体積」の解説

自由体積
ジユウタイセキ
free volume

一定の温度,圧力のもとで分子自身がもつ単位質量当たりの体積,すなわち比容vから,その分子の占有体積v0 を差し引いた量を自由体積 vf という.すなわち,

vfvv0

である.各分子は自由体積に相当する空間的なゆとりを周囲にもっていることになり,それによって分子運動粘性流動の起こりやすさがわかる.液体中の自由体積の温度変化によって,粘度ηの温度依存性を表現する式として,ドリトルの粘度式

があり,低分子液体についてはこの式は実証されている.高分子液体についてもドリトル型の粘度式が成り立つとして,自由体積分率(自由体積の全体積に対する割合)の温度変化の関係式から,M.L. William,R.F. Landel,J.P. Ferryによって提唱された緩和時間の温度依存性を示すWLF式が導き出せる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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