化学辞典 第2版 「臭素酸塩」の解説
臭素酸塩
シュウソサンエン
bromate
一般式MⅠBrO3.たとえば,アルカリ金属塩は,水酸化アルカリと臭素とを水溶液中で反応させて次亜臭素酸塩MⅠBrOを生成させ,この溶液を加熱すると得られる.
3MBrO → MBrO3 + 2MBr
また,金属の水酸化物,酸化物,炭酸塩と臭素酸HBrO3との反応で合成しうる.イオン結晶で三方すい型のBrO3-を含む.Br-O1.6~1.7 Å.∠O-Br-O約105 ℃.臭素酸塩は遊離の臭素酸よりは安定である.対応する塩素酸塩に似ているが,塩素酸塩よりやや安定性は劣る.塩素酸塩より強い酸化力をもつ.アルカリ金属塩は水に可溶,Ba,Ag,HgⅡの塩である.臭素酸カリウムは分析試薬に用いられる.Na塩はNaBrとの混合物を鉱石から金を溶出するのに用いたり,パーマネント用品の添加剤(酸化剤)に用いられる.Ba塩は,希土類の臭素酸塩やHBrO3の製造,低炭素鋼の腐食防止などに用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報