化学辞典 第2版 「モノオキソ臭素酸」の解説
モノオキソ臭素(Ⅰ)酸(塩)
モノオキソシュウソサンエン
monooxobromic(Ⅰ) acid(monooxobromate(Ⅰ))
酸:HBrO(96.91).次亜臭素酸(hypobromous acid)はIUPACの受け入れる慣用名.付加命名法体系名はブロミドヒドリド酸素(bromidohydridooxygen).水溶液としてのみ存在(最高濃度0.3 mol dm-3 程度)する.溶液は黄色.臭素水中に
Br2 + H2O BrIO + HBr
の平衡反応により微量含まれる.濃縮液は,硝酸銀水溶液に臭素を加え,その濾液を減圧蒸発すると得られる.不安定で,暗所でもしだいに Br2 とHBrO3にかわる.光で分解は促進され,O2 も発生する.弱い酸で,pKa 8.7(25 ℃).強い酸化剤で,H2SO3をH2SO4に,H2O2を O2 に酸化する.[CAS 7486-26-2]
塩:アルカリ金属塩,NaBrO・5H2O,KBrO・3H2Oは固体が単離されている.いずれも淡黄色.水に易溶.アルカリ性水溶液中では比較的安定であるが,徐々に不均化して,Br- とBrO3-になる.強い酸化剤で,次亜塩素酸塩に匹敵する酸化力がある.溶液は,酸化剤,臭素化剤に用いられる.[CAS 13824-96-9:Na塩][CAS 13824-97-0:K塩]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報