化学辞典 第2版 「酸化臭素」の解説
酸化臭素
サンカシュウソ
bromine oxide
臭素の酸化物の総称で,次の4種類がおもなものであるが,いずれも不安定で爆発性がある.そのほかにBrOとしてラジカルや,Br2O3,Br2O5なども報告されている.【Ⅰ】一酸化二臭素(dibromine monoxide):Br2O(175.81).低温,CCl4中で酸化水銀(Ⅱ)と臭素の反応でつくられる.-60 ℃ では比較的安定な褐色の固体.分子は折れ線形で,Br-O約1.85 Å.∠Br-O-Br約112°.融点-17.5 ℃(分解).光で分解し,水でHBrOとなる.[CAS 21308-80-5]【Ⅱ】二酸化臭素(bromine dioxide):BrO2(111.90).-78 ℃ で臭素とオゾン O3 との反応でつくる.橙色~淡黄色の固体.-40 ℃ 以上では分解,0 ℃ では爆発的に分解する.[CAS 21255-83-4]【Ⅲ】三酸化臭素(bromine trioxide):BrO3(127.90).以前は八酸化三臭素Br3O8と考えられていたもの.無色の結晶.低温でオゾン中に保存できる.水に可溶.[CAS 32062-14-9]【Ⅳ】七酸化二臭素(dibromine heptaoxide):Br2O7(271.80).低温でBrO2を分解すると得られる.無色の固体.-70 ℃ 以下で安定である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報