塩素酸塩(読み)えんそさんえん

精選版 日本国語大辞典 「塩素酸塩」の意味・読み・例文・類語

えんそさん‐えん【塩素酸塩】

  1. 〘 名詞 〙 塩素酸水素金属元素で置換されて生じる塩。化学式 MIClO3(MI一価の金属元素の場合)で、一般に無色結晶。酸化力が強い塩素酸ナトリウム塩素酸カリウムなど。〔稿本化学語彙(1900)〕

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化学辞典 第2版 「塩素酸塩」の解説

塩素酸塩
エンソサンエン
chlorate

塩素酸HClO3の水素を金属で置換してできる塩の総称.水酸化アルカリ,アルカリ土類金属水酸化物水溶液に塩素を通じるか,塩素酸水溶液に金属酸化物または炭酸塩を溶かしてつくる.一般に,無色の結晶で,常温では安定であるが,加熱すると分解する.陽性の強い金属塩では,

4MClO3 → 3MClO4 + MCl

となり,さらに加熱すると,

MClO4 → MCl + 2O2

の反応により酸素を放つ.MnO2のような遷移金属の酸化物が存在すると触媒になり,分解温度が下がり,酸素を放って塩化物になる.有機物や硫黄リンなどの可燃性物質と共存すると摩擦などにより爆発することがある.水溶液中の酸化力は酸性で強く,中性,アルカリ性では非常に弱い.次亜塩素酸塩より酸化力は弱い.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩素酸塩」の意味・わかりやすい解説

塩素酸塩
えんそさんえん
chlorate

塩素酸HClO3の水素が金属で置換されて生ずる塩。一般式はMIClO3(MIは1価の金属)で表される。アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物の熱水溶液に、塩素を通してつくる。水に溶けやすい無色の結晶。木炭、リン、硫黄(いおう)などと混ぜて打撃を与えると爆発する。水溶液を酸性にすると酸化作用を示す。たとえば、塩酸と反応して塩素を発生する。また、ヨウ化物からヨウ素を遊離し、これをさらに酸化してヨウ素酸塩とすることができる。カリウム塩やナトリウム塩は、過塩素酸塩の製造、マッチ、花火など爆薬の原料、漂白剤、医薬品の製造などに用いられる。

[守永健一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩素酸塩」の意味・わかりやすい解説

塩素酸塩
えんそさんえん
chlorate

MIClO3 の一般式で表わされる化合物。アルカリ土類金属の水酸化物の微熱水溶液に塩素を通じるか,塩化アルカリの温水溶液を隔壁なしで電解して得られる。塩素酸塩は無色で水に易溶。固体は常温で安定であるが,加熱により酸素を放って分解する。特に二酸化マンガンの触媒作用で反応は促進される。また有機物や可燃性のリン,硫黄,炭素などが存在すると摩擦,打撃などによって爆発することがある。酸化力は次亜塩素酸塩より弱い。工業的に最も重要な塩素酸塩は塩素酸カリウムである。

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