普及版 字通 「臾」の読み・字形・画数・意味
臾
9画
[字訓] ひきとめる・しばらく
[説文解字]
[金文]
[字形] 象形
人が腰に両手をかけている形。〔説文〕十四下に「束して(そつえい)するを臾と爲す」とあり、は頭髪をつかむ、はおし倒すというほどの意である。須臾(しゆゆ)はしばらくの意であるが、〔漢書、賈山伝〕「願はくは少(しばら)く須臾して死すること毋(なか)れ」の須臾は従容の意であり、左右の手を腰にあててくつろぐ姿をいう。すなわち腴(ゆ)の初文とみてよい。〔説文〕に字形を「申に從ひ、乙に從ふ」とするが、申は電光の象である。臾は人と(きよく)とに分かちうるが、その全体を象形とみてよい。
[訓義]
1. ゆたか、腴の初文。
2. 腰に手をかける、ひきとめる。
3. 須臾、しばらく。
4. 慂(よう)と通じ、すすめる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕須臾 シバラク
[声系]
〔説文〕に臾声として・腴・など六字を収める。腴四下は「腹下の肥えたるものなり」、または農作物を野積みすること。すべてゆたかなさまをいう。
[語系]
臾jio、腴jiは声義が近い。臾は腴の初文。oaは臾の声義を承け、積粟の豊かな状態をいう。
[熟語]
臾曳▶・臾導▶
[下接語]
斯臾・須臾・従臾
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報