日本大百科全書(ニッポニカ) 「興安」の意味・わかりやすい解説
興安
こうあん / シンアン
中国南部、広西(こうせい)チワン族自治区北東部の県。桂林(けいりん)市に属し、県政府所在地は興安鎮。人口37万6800(2011)。長江(ちょうこう)(揚子江(ようすこう))水系と珠江(しゅこう)水系の分水界に位置する。古代から長江水系の湘江(しょうこう)と珠江水系の江(りこう)をつなぐ、中原(ちゅうげん)と華南との間の交通の要地として開け、紀元前214年には秦(しん)の始皇帝によって両水系を結ぶ霊渠(れいきょ)運河が完成した。現在霊渠は修復され、長さ34キロメートル、水上交通路のほか灌漑(かんがい)にも利用されている。湘桂(しょうけい)線(衡陽(こうよう)―憑祥(ひょうしょう))、衡柳線(衡陽―柳州(りゅうしゅう))が走るほか、2013年には桂林興安通用空港が開港した。石灰岩地帯にあるため県内ではセメント工業が盛ん。鉱物資源は鉛、亜鉛、ウラン、銅、タングステンを産する。広西の果物産地としても知られる。
[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年8月21日]