舌小帯癒着症(読み)ぜっしょうたいゆちゃくしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「舌小帯癒着症」の意味・わかりやすい解説

舌小帯癒着症
ぜっしょうたいゆちゃくしょう

舌小帯(舌下面の正中線にあり、舌と口底の粘膜あるいは歯肉とを結ぶ粘膜のひだ)が短小で、舌下面と口底とが癒着したような状態を示し、舌の運動範囲が狭められ、舌が短くみえる疾患をいう。舌強直(ぜつきょうちょく)症、舌小帯短縮症または短舌症ともよぶ。完全舌小帯癒着症はまれで、多くは部分的舌小帯癒着症である。先天的な疾患であるが、通常、授乳食物摂取に障害がないため、発語時期(1歳半ころ)になって気づくことが多い。具体的には、構音障害、とくにラ行の発音障害となって現れる。舌小帯癒着症では舌を前方に突き出すことが困難なため、ときに下顎(かがく)前歯の正中離開(下顎両中切歯の間にすきまのある歯列不正)の原因となる。治療は、単に舌小帯を横に切開するだけでよいこともあるが、一般には再癒着を生じやすいため、舌小帯伸展術を行うことが多い。

[矢﨑正之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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