内科学 第10版 「良性発作性頭位めまい」の解説
良性発作性頭位めまい(めまい)
特定の頭位や頭位変換で誘発される回転性めまいで,持続時間は数秒~十数秒ときわめて短く(1分以上続くときは他疾患を疑う),蝸牛症候(耳鳴り・難聴など)はない.通常,発作は数日間,その頭位をとるたびに誘発されるが,次第に消失する. 発症機序は,耳石器の変性により剥離した耳石が後半規管(ときに前半規管)に迷入し,頭位変換によって移動してめまいを誘発するとされている.実際Nelson-Barany頭位変換試験で数秒の潜伏時間の後,めまいを訴え,眼振が観察される.治療は半規管内の剥離耳石を卵形囊(ときに球形囊)に戻す浮遊耳石置換法(Epley法など)が有効で,日常生活では可能な限り頭位変換を自ら行い,耳石が囊内に戻るよう心がける.[山本纊子]
■文献
Brandt T: Vertigo―Its Multisensory Syndrome, Springer-Verlag, London, 1991.
Epley JM: The canalith repositioning procedure: Fortreatment of benign paroxysmal positional vertigo. Otplaryngol Head Neck Surg, 107: 399-404,1992.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報