縦隔疾患

内科学 第10版 「縦隔疾患」の解説

縦隔疾患(呼吸器系の疾患)

 縦隔解剖学的に胸郭内で左右の肺に挟まれた領域で,上方は胸郭入口部,左右は縦隔胸膜,前方は胸骨,後方は椎体に囲まれている.縦隔内には管腔臓器として心臓,大血管,食道気管気管支,胸管,充実臓器として胸腺が存在している.その間隙には脂肪組織,リンパ節,神経(交感,迷走,横隔膜神経)を豊富に含み,これら臓器や組織の存在が縦隔疾患の病態を考える上で重要となる.
 一般に縦隔を前縦隔,中縦隔,後縦隔の3つに区分している(図7-15-1).前縦隔は胸骨と心大血管前縁の間,中縦隔は胸郭入口部,前,後縦隔に囲まれた部分,後縦隔は横隔膜面上で心外膜後縁から傍脊椎の肋骨起始部までの部分を占める.各区分に含まれるおもな臓器として,前縦隔には胸腺,中縦隔には心臓,大血管,気管・気管支,後縦隔には食道,下行大動脈,大静脈,交感・迷走神経,胸管がある.[岡 三喜男]
■文献
Cameron RB, Loehrer PJ, et al: Neoplasms of the mediastinum. In: Cancer-Principles and Practice of Oncology, 9th ed (DeVita VT, Lawrence TS, ed), pp871-881, Lippincott WW, Philadelphia, 2011.
Roberts JR, Kaiser LR: Acquired lesions of the mediastinum: benign and malignant. In: Pulmonary Diseases and Disorders, 4th ed (Fishman AP, Elias JA, et al ed), pp1583-1614, McGraw-Hill, New York, 2008.
Wright CD: Nonneoplastic disorders of the mediastinum. In: Pulmonary Diseases and Disorders, 4th ed (Fishman AP, Elias JA, et al ed), pp1555-1581, McGraw-Hill, New York, 2008.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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