非上皮性良性腫瘍

内科学 第10版 「非上皮性良性腫瘍」の解説

非上皮性良性腫瘍(良性肺腫瘍および腫瘍類似疾患)

(2)非上皮性良性腫瘍
 肺過誤腫が代表的な非上皮性良性腫瘍であるが,その他,硬化性血管腫(sclerosing hemangioma)や淡明細胞腫(clear cell tumour)などがある.①肺過誤腫は,呼吸器系上皮細胞組織とともに軟骨,脂肪,平滑筋,結合織などの間葉系組織が増殖混在したものである.男女比では,男性に2~4倍多く,60歳代に発症のピークがある.通常は,肺末梢の孤立性腫瘤として発見され,無症状であることが多いが,約10%に気管支内発生がみられる.特徴的なX線所見として「ポップコーン状石灰化」を認める.高頻度に遺伝子変異が認められ,HMG(high-mobility group) family 蛋白をコードする遺伝子(染色体6p21,12q14-15)の転位が知られている.外科的切除により治癒し,再発することはまれである.②硬化性血管腫は,不完全に分化した呼吸器系上皮細胞由来の良性腫瘍である.中年の成人に多く発症し,男女比は1:7で女性に多い.多くは,肺末梢の孤立性腫瘤であるが,多発する場合もまれに存在する.無症状が多いが,血痰,咳,胸痛を呈することがある.造影CTにより,造影効果が認められる.臨床的に予後良好の疾患であり,外科的切除による再発はないとされる.[長谷川好規]
■文献
Myers JL, et al: Benign Lung Tumors. Murray & Nadel’s Textbook of Respiratory Medicine 5th ed(Mason RJ, et al) pp1171-1185, Saunders, Philadelphia, 2010.
巽浩一郎,他:わが国における肺好酸球性肉芽腫症の検討. 厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班平成9年度研究報告書,39-41, 1998.
Travis WD, et al: Pathology and Genetics of Tumours of the Lung, Pleura, Thymus and Heart. World Health Organization Classification of Tumours. IARC Press, Lyon, 2004.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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