改訂新版 世界大百科事典 「芳香族化反応」の意味・わかりやすい解説
芳香族化反応 (ほうこうぞくかはんのう)
aromatization reaction
芳香族炭化水素を合成する反応。芳香族炭化水素は石油のナフサ留分を原料としてつくられているが,その方法は2種類に大別される。第1はナフサの接触改質反応であって,ナフサ中に含まれるパラフィン系炭化水素(アルカン)が脱水素環化してシクロヘキサン類となり,これがさらに脱水素して芳香族炭化水素が生成する。たとえば,n-ペンタンC7H16からメチルシクロヘキサン,トルエンをつくる反応はこの例である。
この芳香族化反応は,白金を酸性アルミナに担持した触媒を用いて,約500℃,圧力10~35気圧の条件下で行われる。第2の方法はナフサの高温熱分解反応であって,生成したオレフィン(アルケン)の一部がジオレフィンと反応して芳香族に変化する。たとえば,プロピレンと1,3-ブタジエンが結合してメチルシクロヘキセンとなり,脱水素するとトルエンを生ずる。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報