荒津別符(読み)あらつべつぷ

日本歴史地名大系 「荒津別符」の解説

荒津別符
あらつべつぷ

宇佐宮弥勒寺領で、荒津庄とも記される。現苅田町南部の小波瀬おばせ川左岸一帯に比定され、現大字新津が遺称地。建久八年(一一九七)の豊前国図田帳写(到津文書/鎌倉遺文二)に「荒津四郎丸四十丁」とみえ、宇佐宮弥勒寺領の加納得善名を構成していた。記載から近隣の宇原うはら庄、草野くさの(現行橋市)が先行して弥勒寺領とされた後に加納として国衙領から編入されたものと推定される。ほぼ同じ頃とみられる弥勒寺喜多院所領注進(石清水文書/大日本古文書四―二)には「荒津別符」とあり、庄園領主による把握の進展がうかがわれる。承久二年(一二二〇)一二月日の石清水八幡宮検校祐清譲状(同文書/鎌倉遺文四)によれば、検校祐清は荒津庄(弥勒寺領)ほかを子の長寿に譲っており、文永七年(一二七〇)には長寿の孫にあたる玄親が相伝していた(同年三月日「検校宮清弥勒寺領注進状案」同文書/鎌倉遺文一四、石清水祠官系図)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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