菅根の(読み)すがのねの

精選版 日本国語大辞典 「菅根の」の意味・読み・例文・類語

すがのね‐の【菅根の】

① 菅(すげ)の根の長く乱れているところからかかる。
(イ) 「長し」や「長(なが)」と同音を含む語にかかる。
万葉(8C後)一〇・一九三四「相思はぬ妹をやもとな菅根乃(すがのねノ)長き春日を思ひ暮さむ」
(ロ) 「思い乱る」にかかる。
※万葉(8C後)四・六七九「いなと云はば強(し)ひめや吾が背菅根之(すがのねの)思ひ乱れて恋ひつつもあらむ」
② 「すが」「ね」の同音の繰り返しからかかる。
(イ) 「すが」にかかる。
※催馬楽(7C後‐8C)葦垣天地の 神も 神も 証(そう)したべ 我はまうよこし申さず 須加乃禰乃(スカノネノ) すがな すがなきことを 我は聞く 我は聞くかな」
(ロ) 「ねもころ」にかかる。
※万葉(8C後)一一・二四七三「菅根(すがのねの)ねもころ君が結びたる我が紐の緒を解く人はあらじ」
③ 長い菅の根の絶えるというつづきから、「絶ゆ」の序に用いられ、ひいて、同音になった「耐ふ」にかかる枕詞として用いられる。
※万葉(8C後)一二・三〇五二「かきつはたさき沢に生ふる菅根之(すがのねの)絶ゆとや君が見えぬこの頃〈作者未詳〉」
宴曲宴曲集(1296頃)三・遅々春恋「遅々たる春の終日(ひめもす)に 永き思は 菅の根の 耐ぬ涙を抑ても 暮待程ぞ苦しき」

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