朝日日本歴史人物事典 「菊弥」の解説
菊弥
江戸中期の踊り子(芸者)。江戸の人。享保末年,江戸日本橋芳町の踊り子であったが,追われて深川仲町に移り,小唄や三味線の師匠をする傍ら茶屋を開き,すっかり衰微していた岡場所(非公認の遊里)深川を踊り子の本場とし,吉原や品川に並ぶ繁華な遊里とする因を作った。江戸浄瑠璃の一派豊後節の流行に乗って,太夫が着用した黒羽織を愛用し,これが深川の踊り子の風儀となったため,深川の羽織芸者の最初の人として知られる。
(宇田敏彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報