日本大百科全書(ニッポニカ) 「葉紫」の意味・わかりやすい解説
葉紫
ようし / イエツー
(1910/1912―1939)
中国の作家。本名余鶴林。湖南省益陽県の生まれ。1926年北伐軍の武漢占領後、黄埔(こうほ)軍官学校武漢第三分校に進む。27年、反革命軍によって父と姉が処刑され、復讐(ふくしゅう)を誓って流亡生活を続け、30年上海(シャンハイ)に至る。共産党との連絡を回復するが、8か月間入獄。33年6月『無名文芸月刊』創刊号に農民の反抗闘争を描いた『豊収』を発表。左翼作家連盟に加盟し、共産党に入党。魯迅(ろじん)の援助で35年3月、短編集『豊収』を奴隷叢書(そうしょ)第一冊として刊行。その後病気と貧窮のなかで、中編『星』(1936)、短編集『山村一夜』(1937)を出版。37年、故郷に戻って抗日救亡運動に参加。長編『太陽が西から出る』の執筆を開始するが、未完のうちに39年10月5日病没。『葉紫創作集』(1955)、『葉紫選集』(1959)がある。
[岩松久雄]
『竹内好訳『夜哨線』(『中国現代文学選集7 抗戦期文学集I』所収・1962・平凡社)』